調達困難素材『SUS410S』


CHALLENGING THE EXTREMES

  調達困難素材『SUS410S』

厳しすぎる納期 EPISODE 1
「調達困難素材『SUS410S』」

 

希少ステンレス鋼材「SUS410S」

ある注文の内容を確認していて、

材料の名前に違和感を覚えました。

この違和感がある場合、だいたいがあまり一般的ではない、

調達に苦労する材料である場合が多いのです。

 

材料の名前は、「SUS410S」

 

「SUS410」は一般的なステンレス鋼材ですが、

最後に「S」がついていました。

これが違和感の正体です。

 

「S」の意味は、

溶接性が高い成分に調整されている特殊な材料という意味で、

一般には流通しない希少材でした。

そのおかげで、材料調達は難航しました。

 

一般的なステンレス鋼材のSUS304、SUS316、SUS316L、SUS303、SUS403などは

調達しやすい鋼材で、短納期に対応が可能ですが、

今回のSUS410Sのような希少素材は調達だけでも時間がかかる素材です。

 

1日でも納期を短縮する為に即行動

取引のある鉄鋼・金属専門商社や材料販売企業に一斉に声をかけ、

次々と在庫なし、調達不可の返信が届き続け、

不安な時間を過ごしました。

 

そんな中、1社だけ在庫を持っているとの返答があり、

すぐさま、社員を引き取りに派遣しました。

 

社員を派遣するのは、

運送会社を利用するよりも、

1日早く作業に取り掛かれるからです。

 

特殊な焼きなましにもピンポイントで対応

「SUS410S」の塊を引き取り、

その後、クライアントの要望に沿って、「SUS410S」と他の鋼材(難削材)を

溶接する為、その足で、レーザー溶接の工場へと、

材料を届けました。

 

 

レーザー溶接すると、

周辺の金属が熱で変質してしまうので、

「焼きなまし」が必要になります。

 

 

焼きなまし(やきなまし)とは、鋼材を適当な温度に加熱して、

しばらく温度を一定に保持した後に、徐冷する操作を

焼きなまし(もしくは焼鈍(しょうどん))といいます。

 

焼なましには、鋼材の組織を均一にする役割があり、

焼きなましの処理が不完全だと鋼材の硬さや組織が不均一となり、

正確な加工が出来なかったり、正確な試験ができなかったりします。

※今回のレーザー加工によって生じた金属の変質を

この焼きなましを行うことで均質化させました

 

焼なましには、

「完全焼なまし」「拡散焼なまし」「球状焼なまし」

「応力除去焼なまし」「等温変態焼なまし」など、

目的によって使い分けられ、鋼材(金属)の欠陥改善や性質改善を行うことが出来ます。

 

 

しかも、今回の焼きなまし作業は、

特殊な炉を使う必要があったため、

その炉が空いている時間にピンポイントで

運び混まなくてはなりません。

 

もしも、この炉の空き時間に間に合わないと、

次に炉が空くのは3日後というスケジュールで、

納期短縮のために、絶対に間に合わせなくてはならず、

レーザー溶接の仕上がる時間が遅れることがないよう、

念入りに調整しました。

 

当然、一般の運送会社は使えず、

社員を派遣し、レーザー溶接が完了後すぐさま、

それを、焼きなましの炉まで届けさせました。

ここの部分だけで、数日納期を短縮しています。

 

そして、焼きなましが完了後は、

社員が引き取りにゆき、

次は研磨工場へと運びました。

 

研磨工場では、表面を研磨して、

どこで溶接されているのかわからないように仕上げました。

 

短納期を守る為に緻密な段取りとスケジュール管理を徹底

このように、綱渡りのように、

加工機械の空き時間と次の加工機械の空き時間をうまく調整し、

熟練の協力企業に厳しい納期に協力して頂きました。

 

そして、弊社社員が製品を運搬することで、

細かく時短を積み重ね、

通常では信じられないような納期を実現しています。